「歯磨きしていたら出血した」
「歯磨きしていたら出血した」
「血が出るのは怖いのであまり磨かないようにしている」
このように考えている患者さんは多くいらっしゃいますが、正しい知識を身につけておかないと気づいたときには手遅れになっている場合も少なくありません。
そこで今回は歯磨きで血が出るのはいいことなのかというテーマで、歯磨き時に血が出る理由などを詳しく解説していきます。
歯磨きで血が出るのはいいことなの?
歯磨きのときに血が出るのは、良いことでもあり悪いことでもあります。
実は、出血の出る理由のほとんどが「歯周病」です。つまり、出血するということは「歯周病に罹患している」ということなので、「悪いこと」になりますよね。
しかし、これまで歯ブラシが当たっておらず、汚れがたまっていたことで炎症しているため、出血したということは「歯ブラシが奥のほうまで行き届いた証拠」でもあります。
よって、一概に出血したから悪いとは言えないのです。
よくないのは、出血したからと加減して磨いたり、磨くのをやめてしまったりすること。
歯周病はプラークと呼ばれる細菌のかたまりが原因なので、ご自身で毎日丁寧に歯磨きをすることが一番大切と言われています。ですので、磨くのをやめてしまうと余計に悪化してしまいます。
ただし、これは歯周病が原因で出血している場合です。
もし、磨きすぎて歯ぐきを傷つけた「擦過傷」が原因だった場合は、磨き方を改めなければなりません。
ご自身で判断するのは難しいため、歯科医院にて客観的に診てもらうことがとても重要です。
歯周病で出血する理由
「平成28年の歯科疾患実態調査」では、年齢が高くなるほど歯周病の人が増え、45~49歳では約50%、65~74歳では約57%と示されています。
年齢層 | 歯周病の割合 |
---|---|
45~49歳 | 約50% |
65~74歳 | 約57% |
このように「歯周病=中年から高齢者の人がかかる病気」と捉えてしまいがちですが、今回のように歯ぐきからの出血を訴える人は15~29歳といった若い層でも30%を超え、30歳を過ぎると40%以上にまでのぼります。
歯ぐきの腫れや出血など比較的軽度の歯周病は小学生でもなると言われていて、若いから安心というわけでもありません。詳細はこちら
歯ぐきからの出血は、歯周病のはじまりの合図です。
出血・赤み・腫れなどの症状は、身体のなかに入ろうとした細菌が歯ぐきに攻撃して、侵入を抑えようとした結果現れているものです。
なかでも出血は細菌と自分のなかの白血球が戦った証で、出血を放置すると炎症が広がっていってしまいます。
出血は歯周病が進行する確率が高く、逆に出血がないときは病状が安定しているという指針にもなります。
また、お口の中の血管から全身にまわって、糖尿病や早産など他の病気を引き起こす原因にもなるため、出血したら放置せず、早めに対処することが大切です。
喫煙者は出血しにくいので要注意
出血が歯周病を示す信号となっているものの、出血がほとんど見られないケースがあり、それが喫煙者です。
喫煙者は2~8倍歯周病にかかりやすいことが報告されていますが、血中のニコチンが毛細血管を収縮し、出血や赤みが現れにくく、気づいたときには重症化していることが多々あります。出血しないからといって安心するのもいけません。
これまで歯科医院に行ったことがない方は早めに検診に、定期的なメインテナンスを受けにいきましょう。
歯磨きで出血しやすいタイプとは
歯磨きで出血するのは、稀に擦過傷のこともあるものの、ほとんどが歯周病が原因だとお伝えしました。なかでも歯周病にかかりやすく、出血が起きやすいタイプも存在するので、下記に示します。当てはまる人は気をつけてください。
- 親知らずがある(智歯周囲炎)
親知らずの周りに炎症が起こって歯周病になっていることがあり、磨きづらいため出血が起こりやすいです。 - むし歯
むし歯が重度に進行して根っこの先に膿の袋をつくり、歯ぐきを腫らし、出血させることがあります。 - 詰め物や被せ物が合っていない
詰め物や被せ物が合っていないとプラークがたまりやすく、磨き残しやすくなります。 - ドライマウス(口呼吸や唾液分泌の低下)
唾液分泌の低下や口呼吸により口の中が乾燥し、出血しやすくなります。 - ストレス、体調不良、過労など
これらは免疫力を低下させ、歯周病にかかりやすくなります。 - 歯ぎしり、食いしばり
歯ぎしりや食いしばりが歯周病を悪化させる原因になることがあります。 - 妊娠などのホルモンバランスの変化
妊娠中はホルモンバランスの変化により歯周病にかかりやすく、出血しやすくなります。 - 病気や薬(抗凝固剤の服用)
全身疾患や薬の影響で歯ぐきからの腫れや出血が起こりやすくなります。
歯磨き時に血が出ないようにするための対策4選
歯磨きのときに出血が起こらないようにするための対策は4つあります。
- 痛い場合はやらわかめの歯ブラシ
出血が気になる場合は、やわらかめの歯ブラシで優しく磨いてください。ただし、歯ぐきの状態が安定したら普通の歯ブラシに替えましょう。 - 補助清掃用具を使用する
歯間ブラシやフロス、タフトブラシを使い、歯と歯の間の汚れをしっかり取り除きましょう。 - 生活習慣を整える
お口の健康は全身の健康と深く関わっています。健康的な生活習慣を心がけましょう。 - 歯科医院に行く
出血が見られた場合は早めに歯科医院で検査を受け、必要なメインテナンスを行いましょう。
なにかお困りのことがあれば、当院までお気軽にお越しください。