【歯科衛生士監修】歯周病を防ぐ歯ブラシの選び方や正しい歯磨きの方法

歯周病

今回のブログは歯ブラシ・歯磨きについて。

「歯周病を防ぐ歯ブラシってあるの?」
「正しい歯磨きの方法を知りたい」

実際に診療しているとこういうことを良く聞かれたりします。

ところが、残念ながらすべての方に通用する「万能な歯ブラシ」は存在しません。

患者さんの口腔内や生活スタイル、性格は千差万別なので、すべての方にぴったりとフィットする歯ブラシはありえないからです。

また、同じ患者さんでも歯周病の重症度によって使用しやすい歯ブラシも違ってくるので「今のあなたに合う歯ブラシ」を、かかりつけの歯科医師や歯科衛生士からアドバイスしてもらうのがベスト。

そうはいっても、それだけでは毎日使っている歯ブラシを検討しようとこの記事にたどり着いてくださった方に失礼なので「歯ブラシを選ぶポイント」を簡単にご紹介していきます。

ただ、お口の中を客観的に診てもらえる歯科医院の存在は不可欠なので、こちらの記事の情報と合わせて歯医者さんへ行かれることをオススメします。

歯ブラシの選び方

歯ブラシは頭部、頚部、把柄部の3つに分かれていて、その形態も歯ブラシによって異なります。

歯ブラシの頭部の構造

歯ブラシの頭部とは毛がはえているところで、つま先、脇腹、かかとに分かれています。

歯ブラシによってはそれぞれの部位によって毛の長さが違うことや、磨くときに「つま先よりもかかとを使ったほうが当たりやすい」といった特徴もあります。

歯ぐきが腫れていて痛い場合は、脇腹が短い「ドーム型」をオススメすることもなくはないのですが、基本はフラット型がよいでしょう。ギザギザしている歯ブラシは歯と歯の間の汚れを除去しやすい反面、歯ぐきとの境目にプラークが残りやすいデメリットもあるので、スタンダードな形の歯ブラシを使用してフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具でフォローするのがよさそうです。

歯ブラシの毛は「刷毛」と呼び、毛質や先端の形状、長さ、かたさ、植毛密度なども違っています。ひと束を「タフト」と呼び、タフトブラシといった小さな歯ブラシもあります。

毛の長さはかたさにも影響します。子ども用の歯ブラシが短くかたく感じられるのはそのためです。長さは6〜13cmと幅広くあり、短いほうがかたく、長いほうがしなるためやわらかく感じるでしょう。ただそれも毛の材質によって異なるので商品によって違ってきます。同じ「かため」といった表記でも違いがあるので、目安にすぎないことをご理解ください。

「歯周病が進行していて歯ぐきに当たると痛くて磨けない」といった方にはやわらかめをオススメしますが、やわらかい分、コシがないので、かたくこびりついたプラークは除去できません。プラークが除去できていないと歯周病はいつまでたっても改善されないので、ある程度のコシは大切です。よって、一時的に歯ぐきにやさしい歯ブラシを使っても、歯ぐきが落ち着いてきたらコシのある歯ブラシに替えていきましょう。

1本ずつの毛先にも違いがあります。

先が丸いラウンド毛、少し尖っているテーパー毛、水平毛、先端極細毛など多岐にわたります。ラウンド毛のほうがコシがあり、プラークの除去率は高いものの、ブラシ圧に気をつけていないと歯や歯ぐきを痛めやすい難点も。

歯ぐきのなかや細かい隙間に入りやすいのは先端極細毛ですが、毛先が1〜2週間でへたりやすく、かたいプラークは除去しにくいです。また、歯ぐきのなかまで入れ込む必要がない場合がほとんどで、セルフケアでは歯肉縁上のコントロールができれば歯周病は予防できるとも言われています。

毛の材質は天然毛と人工毛があり、人工毛が主流です。

人工毛はナイロンと飽和ポリエステル樹脂がメジャーで、飽和ポリエステルのほうが撥水性や耐久性などに優れています。100円以下の歯ブラシだと毛が広がりやすいのは材質が良くないからでしょう。結果、頻繁に歯ブラシを交換する必要が出てくるので、コスパはあまり良いとは言えません。

刷毛部は「台座」に植毛されていて、厚さや形態が違います。先端が丸みをおび、尖っているほうが奥に入りやすいです。お口が小さく、歯ブラシが骨に当たってしまう方には台座の薄めをオススメしています。あとは磨くときに閉じ気味にすると空間ができて磨きやすいです。

歯ブラシの頚部の構造

歯ブラシの頚部とは、毛がある部分と持ち手の部分をつないだところです。太さや長さ、角度が歯ブラシにより違います。

一番の特徴はカーブの度合いです。

例えば下の歯が内側に倒れている場合、ストレートネックだと歯ブラシを上の歯に当たるぐらいたてないと毛先が歯面に当たりませんが、多少カーブがついていると緩和されます。あとは毛の長さと歯の長さにもよりますが、かかとで磨くだけで根本までしっかり当たってくることもあります。

歯ブラシの把柄部の構造

歯ブラシの持ち手は把柄部と呼び、材質や太さが違っています。

把柄部はご自身の好みで構いませんが、握力の弱い高齢者や、手に障がいを持っていて細かく操作するのが困難な方には、太い把柄部をおすすめしています。場合によってはタオルを巻いて握りやすくすることもあります。

お子さんであれば歯ブラシが楽しくなるような好きなキャラクターが描かれていたり、かわいい形をした歯ブラシを選んだりしてもよいかもしれません。

歯間ブラシやフロスについて

歯ブラシをどれだけ「完璧にできた!」と思っていても、100%除去するのは歯科衛生士でも困難です。50~80%程度しか磨ききれないと言われていて、歯ブラシで取りきれなったところを補う「補助清掃用具」が必要不可欠。

特に歯周病の方は「歯間ブラシ」が重要です。

システマティックレビューでも、通常のブラッシングのみに比べて歯間ブラシを併用したほうが、プラーク除去率、出血などの炎症度、歯周ポケット改善において効果が認められています。

また、フロスよりも歯間ブラシのほうが効果が高いこともわかっています。

ただ、歯間の空隙が少ない方が無理して歯間ブラシを挿入すると歯ぐきを傷つける恐れもあるので、お口の状況によってはフロスのほうがオススメなこともあります。また、使用するときは歯ブラシよりもフロスを先にしましょう。

米国歯周病学会(AAP)では、フロスを先にしたほうが下記のような効果があると発表されています。

  1. プラーク除去率が若干上がる
  2. むし歯予防のフッ化物が歯間にしっかり浸透する
  3. フロスを忘れなくなる

フロスがよいか、歯間ブラシがよいか、それとも他のもののほうがよいかはご自身の性格や手先の器用さなどの技術にもよります。

ぜひ歯科医院でご相談ください。当院でもご自身に合う歯ブラシを処方し、やり方なども丁寧にご説明いたします。

【併せて読みたい】歯科衛生士が教える正しいデンタルフロスの選び方&使い方

歯周病を防ぐ歯磨きの正しい方法

歯磨きの方法はいくつかありますが、基本はスクラビング法と呼ばれる方法をおすすめしています。スクラビング法とは、歯面に対して歯ブラシを直角に当てて横に小刻みに動かす磨き方です。

効率よく磨くには、基本は毛先全面が歯を覆うように当てる必要があります。

また、歯はアーチを描くように並んでおり、歯自体も丸みを帯びています。

よって、植毛部のつま先からかかとを上手く使って歯の形態に合うように沿わせて動かすことも大切です。そして細かいところは歯間ブラシやフロス、先端が三角形のタフトブラシを使用してみてください。

そのほか状況に応じて、歯ぐきの際を磨くバス法や、歯並びが悪い方向けに縦磨き法などもお伝えしています。

歯ブラシの交換

同じように磨いていても、歯ブラシの毛先が広がってきているだけでプラーク除去率が半減してしまうので、定期的に交換することが大切です。

1ヶ月ごとといった目安でも、歯ブラシの後ろから見たときに毛がはみ出ていないかといった目安でも構いません。

歯ブラシを定期的に交換することで、毛の弾力の低下・毛先変形によるプラーク除去率の低下のほか、衛生的、歯や歯ぐきへのダメージも和らぐといったメリットもあります。

毎日なんとなく行っている歯磨きですが、このようにとても奥が深いのです。

もし何かわからないことがございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

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