子供が歯磨きを嫌がるのはなぜ?年齢別の対策を解説します

その他
  • 「むし歯にさせたくないけど、磨かせてくれない」
  • 「歯医者で押さえつけてでも磨けと言われた」

このようにお困りの親御さんも多いのではないでしょうか。

歯科衛生士で”歯磨きのプロ”である筆者も、我が子の歯磨きにはみなさんと同じように苦労していました。

あらゆる対策を調べて工夫をたくさんしてきたので、みなさんのお役に立てる情報をお伝えできたら幸いです。

今回は「子どもが歯磨きを嫌がる理由」を紐解き、年齢別の対策をご紹介します。

子どもが歯磨きを嫌がるのはなぜ?

子どもが歯磨きを嫌がる理由は下記の6つです。

①   口の周りを触られることに慣れていない

お口の中や周りはとても敏感なので、突然触られたり、強くいじられたりすると大人でも嫌ですよね。

いきなり触るとびっくりしてしまうので、まずはお口のマッサージなどからはじめて、お口の周りを触ることに慣れてもらいます。

②   磨かれるときに痛みを感じる

お口の中は痛みを感じるポイントがたくさん。歯ぐきに歯ブラシが当たると痛みを感じます。

また、お口の中には上唇、下唇、舌、頬に小帯と呼ばれるすじがあり、特に上唇小帯は唇を排除するときや前歯を磨くときに当たりやすく、痛みが生じるのでやさしく排除してみてください。

また、唇のはじである口角を引っ張るのも痛いので、なかからふわっと広げるようにします。

③   眠い・お腹が空いたなど機嫌が悪い

ただでさえ不快を感じやすい歯磨きのときに、眠かったり、お腹が空いていたりなど機嫌が悪いと誰だってさせてもらえません。

まずは睡眠や空腹を満たしてから行なうなど、タイミングをはかります。

④   つまらない、集中力がもたない

子どもの集中力はほんのわずか。痛くしないようにと丁寧に磨こうとすると子どもは途中で飽きてしまいます。

また、慣れてないからと躊躇していると子どもにも不安が伝わり、嫌がられてしまうことも。歯磨きから逃げてしまう前に準備は入念に行い、手短に磨くことが必要です。

⑤   押さえつけられた、歯ブラシが奥に入って嘔吐反射が起こったなどの過去のトラウマ

必死になって無理やり押さえつけた、奥を磨きたくて歯ブラシを突っ込んでしまった…などの経験はありませんでしたか。

歯磨きしようとするとそういった過去の体験が思い出され、磨かせてくれないのかもしれません。「歯磨き=楽しいこと」というイメージがつくように、大人も一緒に楽しむ工夫をしましょう。

⑥   イヤイヤ期で何をしてもだめ

子どもの自己主張が強いイヤイヤ期は、自分の気持ちを押し通そうとする時期。

いろんなことを1人でやりたがるため、仕上げ磨きなどの大人の手助けを嫌がる場合が多いです。

遊んでいたのを邪魔されたことなどで歯磨きを拒否している可能性もあります。そんなときは、歯磨きも遊びの一環として、子ども用の歯ブラシを持たせて自分でやらせる、大人の仕上げ磨きをやらせて磨きあってマネっこ遊びをするなどがおすすめ。

大変な時期ですが、前向きに対応することが大切です。

子どもの歯磨きの目的

子どもは「快」か「不快」かのどちらかで判断していて、歯磨きは上記の理由により「不快」と感じることが多いようです。よって、心地よい歯磨きになるようすることを優先させてください。

また「歯磨きしないとむし歯になるよ」といったマイナスな言葉ではなく、「お口の中がすっきりして気持ちいいよ」とプラスの声がけをして歯磨きへの意識を楽しいことへと変えてみます。

この時期は「歯磨きでプラーク(歯垢)を取る行為」よりも歯磨きという行為を習慣化させることが重要です。

歯磨きがうまくできなくても構いません。むしろ3歳まではしっかり行なうことは難しいですよね

この時期は、歯磨きを徹底的に頑張るよりも食生活を整えてあげるほうがむし歯予防には効果的と言えます。

「むし歯を防ぐために歯磨きをする」と考えている方は多くいらっしゃいますが、むし歯は、歯磨きだけでは予防できません。

甘いものを食べたことを歯磨きでチャラにすることは残念ながらできないのです。なので、まずは食生活を整え、フッ化物入りの歯磨き粉を利用すること。

フッ化物を頻回利用するために、食後みがいて、寝る前の1回だけは丁寧にみがくよう心がけます。

今この子ができることを考えて、少しずつ進めていきます。やりたいとき、やりたくないとき、大人だってありますよね。

理想ばかりでは子どもも自分自身も疲れてしまいますので「今日はここまでできたね!」と頑張ってることに合格点をあげて、少しずつでいいのでできることを増やしていってみてくださいね。

年齢別の子どもの歯磨き対策

子どもの歯の特徴をふまえて、年齢別に子どもの歯磨き対策をご紹介します。

年齢関係なく、やったことない方法は子どもも新鮮に感じられてやらせてくれるかもしれないので、あらゆる方法をぜひ試してみてください。

0歳児の歯磨き

歯磨きは「歯が生えてから」と考える方も少なくありませんが、生える前から対策をとってほしいです。いきなりお口を触るとびっくりしてしまうので、まずは頬のマッサージから。徐々にお口に触れることに慣れさせていきます。このときからゴロンで磨くクセをつけておきましょう。

6ヶ月~8ヶ月ごろから下の前歯が生えてきます。もちろん個体差があるので4ヶ月の差であれば問題ありません。歯磨きはお口に触れるのを慣れるためにもガーゼなどから始めてもよいかもしれません。この段階では無理やりやらず、まずは歯磨きに慣れることを重要視してください。

1歳児の歯磨き

歯の本数も増えてきた頃です。しかし、まだまだ子どもの理解は得られず、なかなか磨かせてくれないこともあるでしょう。

この頃はできるだけ短時間で終わらせるようにします。また、決まった時間に歯磨きタイムにして習慣化させます。親が磨いているのを見せてマネさせる、ぬいぐるみに歯磨きをしてごっこ遊びをする、磨いたあとは大げさにほめる、大人も楽しく歯磨きするなども効果的です。それでも難しい場合は、歯磨き動画を観せて大人しくしている間に歯磨きする、寝ている間に磨いてしまう、などもありです。

2~3歳

全部の乳歯が生えそろう頃です。だんだん言葉も理解するようになってきたので、歯磨きを行なう意味などを伝え始めてもよいかもしれません。絵本など視覚や聴覚に訴えかけるのが効果的です。

あーの口、いーの口と磨く場所によってお口の形を変えるのも覚えさせていきます。なかなか磨かせてくれないときは、鏡を使って磨いている様子を見せる、ご両親の仕上げ磨きをしてもらうなどをすると、すんなり磨かせてくれることがあります。

自分で磨きたがると思うので、必ず喉突き刺し防止の歯ブラシを選びましょう。

好きなキャラクターの歯ブラシを使う、歯磨き粉の味の種類を増やして選んでもらうのもよいです。自分で決めたことは進んでやってくれます。

最終的にご褒美をあげるなどの方法もありますが、キシリトール配合のガムやタブレットなどをあげるにしても、甘いものを摂取することが習慣となるのは好ましくありません。

見返りがないとやらないなどにもつながるので、ご褒美をあげるときは気をつけましょう。

4~6歳

イヤイヤ期も落ち着いてきて、すんなり磨かせてくれることも増えると思います。この頃から自分で磨くスキルを高めていきましょう。

どこが磨けているかチェックするために、磨けていないところが赤く染まる「染め出し剤」を使ってみてもいいかもしれません。

6歳以降

だんだん大人の歯である「永久歯」が生えてくる頃です。

段差ができて磨きづらいので、まだまだ仕上げ磨きは必要です。ちなみに子どもでも歯周病になります。

厳密にいうと歯ぐきが赤く腫れたり、出血したりする「歯肉炎」の状態です。

むし歯のほか、歯周病についても知識をつけていきましょう。歯磨き粉に含まれるフッ化物の濃度は2023年に規定が変わり、6歳からは大人と同じ1450ppmを使うようにします。

参考資料:4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法

乳歯、永久歯、顎の発達など子どものお口の中の変化は目まぐるしいですよね。

よって、そのときどきに合わせた方法や道具の選択が必要です。

もしお子さんの歯磨きに困っていることがありましたら、具体的なことをお伝えできるので、いつでも当院までご相談にいらしてくださいね。

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